小さな日本人の人生旅行記(ESADE MBA編)

英語が苦手だったごく平凡なサラリーマンが世界に出ていく体験を綴ります。

ターム2終了 学業面での振り返り

ターム2が終了しました。

 
学業面での振り返りを簡単にしたいと思います。(時間との兼ね合いもあり、表面だけの内容でまとめます)

・International Business Strategy
比較的ターム2の中では力を入れることのできた科目でした。国外にビジネスを展開する上で考慮に入れなければいけない事柄をフレームワークで整理し、どのように国外での逆風に対応するかを考える科目でした。色々な科目でも登場するクラスターや非市場戦略についても学びました。大手の企業がどのような意図で国外進出の順番を決めたり、国によってうまくビジネスのやり方を変えて対応している企業についても学びました。

・Marketing Analysis and Business Strategy
市場規模を計算したり、妥当な価格の決め方の大枠を学びました。この科目は毎週ケースを読んで必要な計算をしてレポートをグループで書くことが求められました。この手のやつ(数字が絡んでシステマチックに考える)は自分としても比較的力を発揮できました。チームの中では一番メカニズムを理解するスピードがあったので、度々ミーティングの最初に自分がチームメイトに説明をする機会がありました。ラテン人+インド人のみのチームだったためか、チームメイトの考え方が発散型であり、正しい方向に導くのが本当に大変でした。

・Creativity
一方、こちらは発散型のチームメイトに恵まれて助かりました。デザイン思考について全体的に学びました。実際にとあるLCCの方に来ていただいてビジネスの問題について共有していただき、こちらからデザイン思考で出したソルーションを提案しました。アプリのプロトタイプの開発や発表のビデオなど、技術面でもアイデア面でも自分には厳しく、この科目はチームメイトに終始助けられました。この科目で学んだ事はもっと実践が必要だと感じました。また、上下関係もなく全員が英語を話す環境だから気兼ねなくアイデアを出して話せるのは心地いいですが、これが日本だと相手に気を遣って意見を言わなかったり婉曲に伝えたり、「気を遣わないあいつは生意気だ」と言う人が出てきたりと、実際の日本の職場で活かすことの難しさを感じました。

・Innovation
Creativityがターム2前半にあったのに対して、交代で後半に入ってきた科目です。どのように企業をイノベーティブにしていくべきかというのを中心に学びました。オープンイノベーションの全体像も学びました。この科目では前職の新規事業(チャネル)にチャレンジしてうまく行かなかったときの事を思い出して、もっとうまく行かせるにはどうすれば良かっただろう?と自問自答を繰り返していました。


・Business, Government, and Society
政治や社会貢献についての科目でした。この手の議論になると本当に日本人はついていくのが厳しいです。どちらかというと、授業中のディスカッションでいろんな立場にたって(NGOなど)考えたり、いろんな学生の意見を聞いて多角的に物事を考える事を個人的には優先しました。

・Corporate Finance
企業価値の計算(DCF法とマルチプル法)とcapital structureについて学びました。最後のプロジェクトでは実際にコングロマリット企業企業価値を推定しました。多くのチームにファイナンス・アカウンティングバックグラウンドのあるメンバーが1〜2人いるのですが、私のチームには誰もいませんでした。。ブラジル人のエンジニアと中心になって、コロンビア人のコンサルの協力を得ながらなんとか終了しました。途中、他のチームの銀行出身のクラスメイト(ブラジル人とクロアチア人)にお願いして、アドバイスをもらったりかなり苦戦しました。。だいぶもがきましたが、全体的な企業価値の計算の仕方だけでなく、どのような推測や必要な情報が計算の裏側にあるのか、また、財務諸表の構造を復習できました。

・Operations Management
主にプロダクトライフサイクルに応じた製造方式の違いを軸に、ジャストインタイム(製造方法の改善)やインダストリー4.0(技術革新)について学びました。また、最後にはperformance measurements system (KPIやBalanced Scorecard) について学び、シミュレーションを行いました。この授業でも前職のKPI管理について思いま出すことが多々ありました。本当にそのKPIは戦略的にも現場サイド的にも意味があって、現場の活動に活かされているのかというのを改めて疑問に思いました。

・Entrepreneurship
一番大変な科目でした。自分たちがビジネスを立ち上げる産業の選定、誰のどのようなニーズを満たしてどのような価値を提供していくのか、どうやってモネタイズしてどのように育てていくのか、と言うものを毎週課題をやりながら体験をしていきました。何が大変かというと、普段のチームとは違うメンバーでEntrepreneurshipのチームを編成する必要があったこと。インド人2人・エクアドル人と私の4人でしたが、メンバーのモチベーションが就活に向いていたためクラスへのコミットメントを低くしようとしていたこと、業務を進めるスピード感・約束を守ることに対するコミットメントの違い・プレゼンのデザインから使う英語(発音や言い回し)も全て慣れたものではなく、本当に苦しい体験をしました。最終のInvestor Pitchは悔いの残る結果となりました。。アントレはいろんな科目の総合格闘技なので、もう少し取り組みようによってはもっと学びの多い科目だったかもしれません。ただし、個人的には将来の財務パフォーマンスを予想する役割をしていたため、改めて財務諸表がどのようにリンクし合っているのか、出てきた数字がどのような意味があるのか、そもそものBS・PL・CSの構成要素や企業価値の考え方など全体像をさらにつかむことができました。ドメドメな雰囲気の某江戸時代からの会社の飛び込み営業をしていた自分がこのようなことを経験するのは本当にいい経験だと思います。
 
・Business Analytics and Decision Making
こちらも苦労しました。いわゆる機械学習(マシーンラーニング )についてのクラスです。いかにデータをモデルを作って質のいい予測をできるようにするか、が主な授業内容でした。私にとっては馴染みがなさすぎて、マシーンラーニング のそもそもの分類や、実際に精度を評価する際の考え方を学びました。こちらも、チームとしては最後のプロジェクトは思うようにパフォーマンスができませんでした。教授と我々の間に課題に対する解釈の違いがあったためです。しかし、このプロジェクトを通じて「膨大なデータを分析することで、これまで見落としていたパターンや顧客の特性を人間のバイアスなしでゼロから見出すことが可能になる」というのに気が付きました。どうしても年齢や社会的属性などで顧客をセグメントにわけて考える癖が我々にはありますが、もっと深入りした行動の違いなどで分析が可能になるのです。その「当たり前を疑うこと」が必要だと感じました。
 
全体的には、やはりターム2も忙しい上に課題や事前準備が求められることが多く、全ての科目に全力投球するのは不可能でした。