小さな日本人の人生旅行記(ESADE MBA編)

英語が苦手だったごく平凡なサラリーマンが世界に出ていく体験を綴ります。

海外へのMBA留学で学んだ26個の事

帰国の機内で書き留めたもの その3

 

おそらく多くの人が「海外のビジネススクールに留学することで何が学べるの?」ということを疑問に思うと思います。

ビジネススクールにくる人は多様な経歴を持っていて目的・人生観も異なるので留学の時間を一緒に過ごしていても感じることは「人による」と思います。

 

以下は私個人が学んだ26の事です(キリのいい数字じゃなくてすんません)

 

1、自分の癖や特性を知った

・好きなこと、嫌いなこと、価値観。

・行動や思考のパターン。

・自分がなかなか取れない行動。

 

2、他人と比べることをやめようと決意できた

・羨ましい環境・羨ましい能力の友人たち。

・ただ一方で、自分の業務経験がいかに特殊だったかを思い知らされた。

・自分のスキルの多くは、前職の会社内でしか通用しないこと。

 

3、世界のハイパフォーマーがどんな人か学んだ

・疲れにくい & 運動習慣がある & 行動力がある

・上記の3つのいい循環ができている。

・人に優しく自分に厳しい。

・適応能力がある。

・自分のポジション(意見)があり主張はするが、他の人の視点に対する柔軟性がある(アサーティブ)。

 

4、「知識をインプットすること」の限界を知った

・そもそも勉強したいことは山ほどある。

・色々やり過ぎても得意分野を築けない。

インターンでの限界(発想力)。

・自分のリーダーとしての課題はまだ残る。

・そして自分のライフワーク達成には「アウトプットありき」という残酷な事実。

 

5、「全てをコントロールしようとすること」をやめた

・以前は社内に走っているプロジェクトや案件全てをある程度把握しようと必死だった。

ビジネススクール。とにかくやる事(やりたい事)が多い。また、やるべき事も絶えず変化する中、全てをコントロールするのは不可能である。

・集団の中での自分のポジションを見極めて、全体のために自分ができることをする。変に首を突っ込み過ぎない。

 

6、物事に過度に期待をしなくなった

・「こんなもんか」という感覚の連続。

・学校に対しても、企業に対しても、人に対しても、自分に対しても期待をし過ぎない。

・完全には機能しない海外。

・また、世界有数の企業も一般企業と同じ悩みを抱え、VUCAの時代を生きている。

 

7、お金の大切さを学んだ

・自分にとってどんなお金の使い方をするのが「我が道」なのか。

・自分のこれまでのお金の使い方をゼロから見直すきっかけができた。

・お金リテラシーを鍛えることができた。

 

8、お金のことを考え続けて生きることは幸せから遠のくことに気がついた

・受験期含め5年続いた貧乏生活。

・留学中は減り続ける預金額を見ながら毎週予算を修正。決して愉快な作業ではなかった。服は破れに破れ、髪は嫁に切ってもらうほど。

・将来についてのお金の心配は考えてもキリがない。

 

9、主体的に生きたもん勝ちだということを経験した

・世界は「言ったもん勝ち」「手を挙げたもん勝ち」。

・自分が納得して生きるための方法。

・成し遂げたいことは人に話すことが大切。

・他人に依存しすぎないことが大切(期待しすぎない)。

 

10、加点方式へ、思考転換ができた

・相手が何かをしてくれることは「当たり前」ではなく「ありがたいこと」。

・うまくいかない夫婦関係は減点方式によるもの。

 

11、全ては日々の積み重ねでしかない、ということを再認識した

・残念ながら自分は特段頭が切れる訳でも、もともと語学ができるわけでもない。

・トラックに乗って台車を転がして営業をしていた人間。

2014年に本が書けるくらいの挫折や紆余曲折を経験し、そこから這い上がってきた。将来はこの時の話で本を書こうと思っている。この時期を経ていろんなものを捨てたが、家族や親友の大切さが残った。

・毎日少しずつ勉強をして、これまで目標にしてきたことは実は達成ができている。

 

12、常に優先順位の見直しを行うことの必要性に直面した

・忙しい中、他の人の行動をみて色々やりたくなる。

・本当に必要なことは何か、何をしたら将来につながるか、自分の価値観に従うことになるのか。

・常に意思決定と振り返り。

・おそらく社会に戻っても同じことが起こるはず。

 

13、リスクについての考え方を磨いた

・リスクは避けるものではない。

・リスクは起こり得ることとインパクトを想定し、コントロールをするもの。

・結局世の中ほとんどのことに「絶対」はない。

 

14、慌てない

・意外とどうにかなる。

 

15、素直に喜ぶことも少なくなった(よくも悪くも)

・何かを達成しても、何かの節目を迎えても特別なことに感じない(あくまで積み重ねているものの1つの瞬間に過ぎない)。

 

16、永遠に自分を鍛え続ける必要がある

・自分を変えて世の中を変えようとすると 「勉強はこれで終わり」というのは存在しない。

・常に自分のOSをアップデートし続ける必要がある。

 

17、自分の常識は他人の非常識であることを認識した

・そもそも日本の常識は異常。

・自分が物事を見るときのフィルターと自分自身を混同させない。

 

18、ドイツ・ドイツ人について客観的に見ることができた

・いい部分も、悪い部分も・・・。

・今までドイツ人とほぼ全員仲良くなれたのは、向こうが日本に関心があったから。

 

19、欧州のダイナミズムや「世界への近さ」を体現できた

・複数言語は操って当たり前(特に北欧で身をもって経験できた)。

・おいている商品、話題にする映画などのポップカルチャーが一緒。

 

20、自分が将来どんなことをしたいかじっくり考えることができた

・大まかな方向性は入学前から変わらない。

・プライベート含め、長期のプランを考えることができた。

 

21、やりたいことは後回しにしない

・本当に人生でやりたいことは後にとっておかない。

・外部要因や諸々の不可抗力、自分の健康面などに左右される可能性があり、結局達成できない。

 

22、日々小さいことに意識を向け、楽しむようになった

・日本にいた時は空を見たり、季節の移り変わりを楽しむ気持ちが持てなかった。

・今は季節の移り変わりや綺麗な空、雲を楽しむことができるようになった。

 

23、人間の特性を知った

・いいこと・悪いことの大まかな原則は万国共通。

・振る舞いの仕方に地域差と個人差があり、それをどう受け止めるか・受け流すかが大切。

 

24、前の会社・職場環境・業務プロセス・社風を客観的に見ることができた

MBAに行ったからこそ体験できたインターンと他業種への転職。

・グローバル企業・成長企業と伝統的な日本企業の違いは大いに勉強になった。

・企業もそうであるが、前いた産業も客観視できた。

 

25、意思決定の連続を経験できた

・グループワーク。特にターム2はチームの中心で物事を進める機会が多かった。

・クラブの代表。どのようにイベントを組んでどのように内外の調整をするかをマネージした。

・お金と時間のやりくり。メリット・デメリット・優先順位・己の感情etc。それぞれを切り分けて適宜意思決定の連続。

 

26、日本の文化の特異性を再認識した

・日本は文化の国。

・日本人の計画性・グループワークでの規律・約束を守り、精度が高い。

・ただ、日本人がなかなかビジネススクールで中心になることはない。

 

 

いかがでしょうか。

よくビジネススクールというと、

ハードスキル(経営戦略やファイナンス・アカウンティングやマーケティング戦略)とソフトスキル(リーダーシップ・internationalな環境での業務遂行力・コミュニケーション能力・プレゼン能力)が学べる場所、というように描写されますが、私にとってはかなり違う結果になったようです。

 

上記の26個の学びをまとめてみて感じたところでは、私は「自身が幸せになるために必要な要素」を自分なりに模索し続けてなんとなく見えてきた、というのが1番の収穫でした。付帯して「会社に縛られなくてもなんとか自分で仕事を選んで渡り歩くために必要な馬力のようなもの」を身につけた感じでしょうか。

 

これはおそらく前の職場にいただけでは身につかなかった感覚でしょうし。国内で夜間or週末のMBAプログラムに通学したところで身につかなかったことであるように感じます。人によって学べることは違いますが、新卒でなんとなく就職したけど自分の生き方やキャリアに疑問を感じているサラリーマンの方にとって、一つの道として海外MBAはありだと思います英語ができなくても本当に勉強をして時間をある程度かければ行けるレベルにはなります。勉強法などもし何かお知りになりたいことがあれば、遠慮なくご連絡ください。

 

金銭的なROIでいうと、受験での費用+学費+サンクコスト+生活費の2国間の差額+旅費の全てを(理論的には)4−5年で回収できる見込みです。ですが、その間に私のキャリアが安定する保証もありませんし、それよりももっと大事なのは「どんな環境変化が起きても自分が納得して生きれるかどうか」でしょう。そのために必要なことを学んだり体験できたので、この留学は満足です。

 

*なお、いいことばかり書くとフェアではないので、留学をして学べなかったことやできなかったことを次回は掲載します。