小さな日本人の人生旅行記(ESADE MBA編)

英語が苦手だったごく平凡なサラリーマンが世界に出ていく体験を綴ります。

英語ができなかった人がMBAでサバイブする中で見えたもの

さて、TOEIC400点台だった私ですが、海外のビジネススクールでなんとかここまでサバイブしています。
最近、外国人学生たちから英語がうまくなったと言われることが増えています。純粋に嬉しいですが、からくりをここで書いてしまいますね。

8割の要素は英語力そのものとは関係あまりないかもしれません。
・論理構造が大切
インプット(リスニング)は普段の会話の中では一字一句きいていません。笑
他の学生がなぜ今言い合っているのか、何が納得行かないのかを頭に図で描きながら聞こえた単語をベースに構成を組むことで理解します。
一方、アウトプット(ライティング、スピーキング)は立場を明確にして(賛成・反対・インサイトの追加など)、言いたいことをロジックツリーにして伝えます。相手との間にコンテクストのズレが起きた場合はノートや紙、ホワイトボードにロジックツリーやフレームワークを書いて理解にずれがないようにしていきます。
幸い物事のパターンを見抜く力はチームの中ではあるようで、どうにか教授の言っていた理論、ケースの中の難解な部分のコンテクストをチームメイトに説明することで自分のポジショニングを今回のチームでは確立しています。ただし、どうしても英語力はチーム最下位なので、必要な部分は頼ります。
話はそれますが、前のタームの最チーム(最強メンバー)の時は理解するスピードでは他のメンバーも早かったので、別の部分でポジショニングをとっていました。チームが変わることで自分が発揮する能力が変わるのは面白い発見です。

・わからなくても気にしない
これを言ってしまうと元も子もないのですが、聞こえなくて自己嫌悪に陥る段階から早く抜け出したほうがいいです。
学校の教授の中にはちょいちょいコテコテのスペイン語訛りの教授がおり、だいたいわかりにくいときはネイティブでさえも理解に苦しんでいる事が多いです。
なので、地に足をつけて論理展開を取りに行けば問題ないと思います。

・ビジネスで必要な単語・用語をおさえる
ビジネス用語はプレゼンや課題、試験で出てくるので嫌でもおぼえます。単語がわかっていれば、プレゼンや議論も当然アウトプットがスムーズになります。(英語力関係なく)


残りの2割は若干英語力の向上も関連してきます

・使える表現をストックする
他の学生の発言やメールなどの表現を何かしらのメモツールに保存して練習を繰り返し、世界基準の英語表現を自分の中でどんどん使えるようにしています。結構些細なことほど日本では表現を習うことがないので、「これだ!」という表現をきいたら、すぐに記録します。
(たとえば、「〜さんの発言にも触れることなのですが、」とか「このタイトルは太文字にして下線つけてもらえる?」とか、そんな表現日本では使う機会ないですよね)
ストックしたフレーズを定期的に見直して、プライベートの場面、クラスやグループワーク(仕事でも使える)表現が身に付きます。

・いろんな訛りの特徴をとらえる
それぞれの母語の影響によるアクセントにはある程度法則があります。
授業中に彼らの発音を実は気づかれないようにかるくシャドーイングしていて、発言をなるべく頭の中で文字に起こす努力をしています。これによって各言語の影響を受けた発音の特徴をとらえられるようになります。
これをやっていると、イタリア訛り、フランス訛り、インド訛りなど、自分でもある程度調整して真似して自分でも話ができるようになります。(あまりにやると不快感を与えかねないのでおおっぴらにはやっていませんが。)

しかし、まだ私はスペイン語圏の発音が聞こえません。スペイン語圏の人も2つのグループにわかれていて、はっきりローマ字読みするタイプと、あまり口を動かさずに話すタイプに分類されます。どちらも周波数が合わないのか、音の質が違うのか、早口だからなのか聞き取りにくいのですが、私は後者が本当に聞き取れません。。休み時間やオフの時間で話す内容のコンテクストが分かっているときは大丈夫ですが、授業中の、とくにあまりロジカルな話し方でない発言は厳しいです。。

・笑いのツボの感覚をつかむ
プレゼンでは必ず聞いてくれている人を笑わせるようにしています。
人を笑わせるだけで聞き手はプレゼンをしている人と「コネクト」する瞬間が生まれ
なんとなく意味が入って来やすくなる というのがこれまでの経験で掴んだものです。
 
以上です。
本当に英語力が向上しているかどうかは自分でもわかりませんが、英語を聞いたり話したりする上での不快感や違和感はかなり減ったというのが実態です。
ここに関しては純ドメ日本人学生の中でも個人差があるかなと思います。

そして思うのは、他の学生はあまり話すスピードについては配慮をしてくれませんが、こちらから話すことがいくら文法間違えていても途中で話すのがとぎれとぎれになってしまっても、話していることがまともであればリスペクトして聞いてくれます。
逆に、事前に準備(ケースを読むなど)をしなかったり、考えもまとまっていないのにベラベラとトンチンカンな事を言うのはリスペクトされません。(飲みに行く友達としてはいいのですが、課題やプロジェクトをやる中での信頼は低いです)

私の大学時代のドイツ語の教授が「ペラペラドイツ語を話すペラ子ペラ男を目指すのではなく、クリティカルで重みのある発言を出来るよう目指すべき。だから内容が大切。」とおっしゃっていたのを思い出しました。また、「本を読むときは各段落に題名をつけて一言概略を書く」といつも教授に言われていました。今学期はケースを読む量がが多いのでいろいろな読み方を試してきましたが、ドイツ語で教わったやり方を使うのが読むスピード、その後の議論やレポートにするときのアウトプットのスピードが速くなることがわかりました。

英語に関するtakeawayをまとめると、大事なのは論理性とめげない心だと思います。(というとかなり当たり前というか、短絡的に聞こえますが。)

本の学校での英語教育の話には深入りするつもりはありませんが、英語とは関係なく日本語でディベートや、論理思考を学校でやる機会がもっとあってもいいのではと思いました。あくまで言語は手段ですし。