小さな日本人の人生旅行記(ESADE MBA編)

英語が苦手だったごく平凡なサラリーマンが世界に出ていく体験を綴ります。

インターン1社目終了

日本に帰国してからもう7週間が経過しました。

1年前の日本出発から一瞬にして今回の帰国後の生活にワープしているみたいで、まるでこの1年に起きた出来事が現実ではなく、寝ている間に見た夢のような感じです。日本の家の仏壇に先日のMBATの金メダルを置いたとき、形のあるものっていいなあと思いました。夢だけど実は夢じゃなかった的なものが形のあるもので証明されているというか。

 

もうインターンシップも今週で1社目が終わりました。ビジネススクールの学生から社内に戻って感じたことを今日はつづります。

 

・良くも悪くも前職がベース

基本的には前職でやった仕事のやり方が自分に思った以上にしみついていると感じました。8年間働いたことは確かにゼロからの新卒に比べたら明らかに自分の現在の仕事に対する姿勢やスキルにつながっています。ただ、自分は前職の会社でしか通用しない知識、行動様式を身につけてしまっていたのであります。上の立場にいる人を思い図り、忖度をして発言することをためらう。外資かつ意見をアウトプットすることが求められる環境の中では、自分自身の市場価値の低下を感じました。そう考えると、入社一社目は非常に大切だと感じました。前の職場では多くのことを学びましたしそこまで後悔はしていませんが、おそらく今の自分が大学3年―4年の頃の自分に就活についてアドバイスをしたら違う進路を選んでいたと思います。

 

・質の高い社員の方々

今回お世話になった会社は世界トップレベルのヘルスケア企業のため、全体的に社員の方々の質が高く、フレームワークをつかってロジカルに考えるやり方は部署の全員ができていました(やはり花形部署だけあるなと思いました)。また、職場では英語が日常から聞こえてきて、英語でスライドをつくったり話したりする必要があるため、卒業後に英語をブラッシュアップするにはいい環境だと感じました。

 

・働きやすさ

部署によるのだとは思いますが、私が入った部署は忙しめだったように感じます。ただ、前職と比較して無駄な電話が少ないこと、無駄な気遣いがないことで業務に集中できる環境は整っていました。喫煙者もいないので無駄にタバコを吸いに行って時間をつぶすような働きかたをする人もいなくて、非常に正当な働きかたをする会社だと思いました。役職(肩書)で呼び合うこともなく上司も部下もお互いに「さん」で呼び合うカルチャーでした。

ファミリーデーという、1日社員のご家族が職場にきていろんな催し物に参加するというイベントがあったり、Diversity & Inclusion関連のイベントも参加させていただきました。すでにDiversityは日本社会では圧倒的にトップを走る企業なので、すでにどうインクルーシブな環境をつくるかということについて深く取り組んでいる印象でした。

 

・いい組織でも永遠の課題はある

プロジェクトを進めていく中で、いくら世界トップレベルの働きがいのある会社に選ばれている企業でも、組織・人に関わる問題は永遠の課題だと思いました。あまり多くは書くことができませんが、どの会社でも同じような状況はあり、ある意味安心と絶望感(本当にこれが永遠の課題であること)を同時に感じました。

留学しはじめたときは「日本企業の組織をより良くする」という意気込みをもっていましたが、この永遠の課題に対して自分がどう腹をくくって取り組むかは少し考える時間が必要です。

 

・幸せであること

日本に帰ってきて思ったよりも余裕がなく(金銭的にも時間的にも)、就職活動の必要がない人や夏休みの期間がある人をうらやましく思うのかなと日本帰国当初は思っていたのですが、全くそんなことはありませんでした。

なぜならば、いろんな経験をするために全財産をはたいて時間も割いてこの場にいるからです。こうやっていろんな経験をつめて本当に幸せだと思います。英語ゼロだった自分が、素晴らしい会社である程度の期間社員として働き、経営陣に英語でプレゼンテーションをするなんて、数年前の自分では考えられません。英語できなさ過ぎて3年くらい毎日朝早く起きて勉強してなんとか学校から合格をいただけましたが、少なくとも自分で毎日努力していなければ、今のステージには立てなかったと思います。

 

・修業は続くよどこまでも

ただ、これまで如何に努力をして自分自身をかえてきても、走り続けなければいけません。自分でキャリアを築く自由を得たくて会社をやめてビジネススクールにいきましたが、正直修業が今後の人生も続くという事実を思い知らされたインターンシップでした。自分の中でまだまだできていないスキルや、新しい業界での知識の少なさに直面しました。また、自分自身で能動的に成長のチャンスをつかみにいかなければ成長もキャリを築く自由もなく、これからもずっと自分自身で考え、自分自身を鍛え上げる覚悟が必要です。(もう日本のサラリーマンを卒業した時点ですでにこの手の世界に入っているのですが)

 

・海外MBAの効果

では実際に自分のパフォーマンスはビジネススクール入学前に比較してどうなっているのか?答えとしては「はっきりと言えないが変化は確実にあると実感している」というレベルです。受験生の皆さんすみません)

やはり1年海外のビジネススクールで過ごして感じるのは、アカデミックな知識自体は日本語の本を読んだ方が断然効率的だという事。しかも世の中ビジネス書であふれていてすごい部数が売れています。それなのに、またまだビジネスパーソンのスキルが上がっていかないのはやはり理論と実務の間に乖離があるんだと思います。

ただ、実感としては「発言のポジションと論拠をもつこと」「反対意見・別の立場や角度からみたらどのようなロジックができるか想像や理解ができること」や「ホワイトボードの前に立って話をまとめる」という部分については多少なりとも成長を感じます。ただ、完璧からはまだほど遠いです。これってあまり日本の教育では経験しなかったことなんですよね。なので、そういう意味ではビジネススクールの経験はいかされているのではないなか、と思います。

また、業務以外の部分ではイライラ・せかせかすることが減りました。受験していたころは1分でも1秒でも無駄な時間を削って勉強時間に割きたいと思っていました。当然海外では予定通りにものは動かないし、そこまで時間に対して根を詰めすぎても、あまり効果ないということに気が付きました。クラスメイトもみんな「今」を生きる感じの人が多いですし。

 

お盆休みは東京にこもります。デジタルマーケティングでも勉強しようかしら。組織についての研究をしようかしら。